CO2も、広告費もムダにしない。 花キューピットがアドフラウド対策で描く“業界健全化”の未来

CO2も、広告費もムダにしない。 花キューピットがアドフラウド対策で描く“業界健全化”の未来

環境に向き合う想いを広告にも重ね、未来につながる健全な市場へ。

全国約4,000店のネットワークで距離と環境負荷を縮める

Q.まず、貴社の事業内容について教えてください。

大橋様:「当社はJFTDグループの子会社として、花のEC事業を行っています。ネットでご注文いただいたお花は、全国約4,000店の加盟店ネットワーク「花キューピット」を通じて、お届け先に近い加盟店からお届けしています。

たとえば北海道から沖縄へのお届けであっても、本来であれば飛行機など長距離輸送が必要になりますが、私たちが仲介することで、お届け先に近い花屋さんから届けることができます。遠方からの発送ではなく、花屋さんへの連絡だけなので、午前中にご注文いただければ、当日中にお届けすることが可能です。

中間の輸送距離をほとんどなくせるので、CO2排出量も抑えられます。
2024年4月〜2025年3月だけでも、約121トンのCO2排出を抑制できました。
花を贈る体験そのものを、サステナブルな形で提供できているのは、大きな強みだと思っています。」

Q.大橋様のご担当領域と、日々意識されているポイントを教えてください。

大橋様:「私はEC事業全体を統括しており、オンラインマーケティングや広告展開、制作の管理、SNSを中心としたお客様とのコミュニケーションまで幅広く担当しています。

特にここ数年はAIの台頭もあり、マーケティングの前提が大きく変わる転換期にあると感じています。広告コストは上がり続け、検索頼みのマーケティングも通用しにくくなり、クリック率も下がってきている。

こうした環境の中で、株価や景気の変動に左右されず安定的に商売を続けるには、コスト感と投資のバランスが不可欠です。そのため、お客様の消費行動を注意深く見つつ、どこにどれだけ投資するのが最適かを常に意識しています。」

アドフラウドの存在は知っていた。でも「どう対策すべきか」が分からなかった

Q.アドフラウドについては、もともとどのようなイメージをお持ちでしたか?

大橋様:「アドフラウドの存在自体は以前から知っていました。管理画面上でプレースメントを見ると、ある程度は見えるものの、やはりブラックボックスな部分も残っています。

ユーザーとして広告を見るときにも、『これはちょっとおかしいな』と感じる出方をしている広告はありますよね。そういった好ましくない広告表示”があることは分かっていましたが、それをどうやって対策すべきかが分からない。そこが一番モヤモヤしていました。

ユーザーとしても望ましくないし、広告主としても健全とは言えない。でも、具体的な解決策が見つからない状態が続いていたんです。」

Q.Spider AF導入前には、どのような課題がありましたか?

大橋様:「管理画面でプレースメントを確認すること自体はできますが、毎日全てをチェックし続けるのは現実的ではないですよね。一つひとつ人の目で追うには限界があります。

そんなときに、何かいい手立てはないかと考えていたところで、カンファレンスのイベントでSpider Labsと出会いました。」

「ツール導入前から、ある程度不正クリックは発生しているだろうと予測していました。ただ、それを自分たちだけで『ここまでは不正』ときちんと判定する術がない。ここが最大の課題でした。

広告出稿をやめれば不正なインプレッションやクリックは減りますが、『明らかにこれはよくないだろう』という心当たりはあっても、確証が持てないので踏み込めない。
広告を出稿している1ECサイトとしては、非常に難解な問題でした。」

総務省ガイダンスが示した「広告主の責任」

Q.その中でアドフラウド対策を実施しようと思ったきっかけを教えていただけますか?

大橋様:「近年、日本国内ではデジタル広告の透明性や利用者保護の強化が大きなテーマになっています。総務省は「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」や、「デジタル広告の流通を巡る諸課題への対応に関するモニタリング指針」を通じて、広告主にも、不適切な配信や不正を是正し、利用者保護・市場の健全化に主体的に取り組むことを求めています。

こうした国の方針もあり、「アドフラウド対策は媒体任せではなく、広告主自身が責任を持って向き合うべきテーマ」という考え方が、当社の中でもより強くなっていきました。」

「想定以上の被害額」が可視化されたトライアル

Q.Spider AFについて、初めてご案内を受けたときの第一印象はいかがでしたか?

大橋様:「アドフラウドについては事前にある程度勉強していたので、いい意味で驚きすぎることはありませんでした。それよりも、『やっと自分たちの疑問に対して、理路整然と答えを出してくれるソリューションに出会えた』という感覚でしたね。こちらの疑問に対して的確な答えを出してもらえたことで、非常に安心感がありましたし、自分たちがどれだけ広告費を無駄遣いしていたかを冷静に振り返るきっかけにもなりました。」

Q.トライアルを実施いただきましたが、結果をご覧になった際の率直な感想を教えてください。

大橋様:「トライアルの結果を見たとき、想定していたよりも被害額が大きかったことに正直驚きました。『やはり、ここまで出てしまっているのか』という感覚でした。ただ同時に、Spider AFで具体的な数字として可視化されたことが、導入を後押しした決定的な要素でもあります。被害の実態が見えたことで、社内でもスムーズに意思決定できました。」

Q.最終的にSpider AFを選んだ決め手は何でしたか?

大橋様:「類似サービスもいくつか比較検討しましたが、事前に自分が勉強していたアドフラウドの考え方と、Spider AFが出してくれる答えが一番一致していました。

何となく良さそうだからではなく、自分たちが求めている答えを、ちゃんとデータで出してくれる。『事前に想定していた通りの答えを出してくれそうだ』と感じたことが、最終的な決め手ですね。」

Q.Spider AFにてブロックを開始した後、どのような成果や変化を実感されましたか?

大橋様:「実際にブロックを開始してからは、すぐに変化を感じました。
特に、一般的にCPCが高騰しやすい検索面でアドフラウド率が明確に減少し、被害額の抑制につながった点は大きなインパクトでした。
また、デマンドジェネレーションキャンペーンにおける不正クリックの内訳を詳しく見ていく中で、海外からの不自然なアクセスが多く含まれていたことも判明しました。
これは、Spider AFを導入しなければ気づけなかった部分で、対策の優先度を見直すきっかけにもなりました。

こうした“見えなかった問題が可視化され、改善につながっていく実感”は、非常にポジティブに捉えています。」

「広告主が自分でコントロールする」からこそ、ブランドも市場も守れる

Q.アドフラウド対策は媒体側や代理店側の責任と捉える企業さまもいらっしゃいます。なぜ広告主側での対策が必要だとお考えですか?

大橋様:「一般ユーザーに自社サイトがどう見られているかというブランディングの観点でも、広告主自身がコントロールすべきだと考えています。

ユーザーが『この会社の広告、ちょっと変なところに出ているな』と感じたら、その違和感はそのままブランドイメージに跳ね返ってきます。だからこそ、配信先の品質に責任を持ち、自分たちの手でコントロールする必要があると思っています。」

総務省のガイダンスでも、広告主・プラットフォーム・代理店それぞれが役割を果たし、利用者保護や不適切な広告の抑止に取り組むことが求められています。当社の姿勢は、まさにこうした流れと歩調を合わせたものと言えます。

Q.業界全体として、アドフラウド被害が高まっている実感はありますか?

大橋様:「イベントなどで他社の方と意見交換していると、『今のWeb広告のあり方が、一般消費者の心をどんどん離してしまうのではないか』という危機感を、多くの方が共有していると感じます。このまま放置すれば、Web広告のディストピア化を招いてしまう一因になりかねません。広告主側も、健全な市場を形成しないと、その市場は活性化しない。

売れればいいという短期的な視点だけで動くと、その裏側で消費者が離れていく。それは広告主側の責任でもあると思っています。」

新規獲得が中心だからこそ、アドフラウドと正面から向き合う必要がある

Q.マーケティングや広告領域全般で、どのような課題感をお持ちですか?

大橋様:「当社はギフトビジネスで、リピーターが多くはありません。
同じお相手に贈る場合でも、『前回は花だったから、次はお菓子にしよう』といった選択肢がありますし、関係性によって花が重く感じられることもあればライトに感じられることもあります。

そのため、常に新規顧客を獲得していく必要があり、広告による認知拡大や新規獲得は非常に重要です。一方で、見込み客へのアプローチを増やそうとすると、アドフラウドのリスクも高まっていきます。

アドフラウド対策は、どうしてもいたちごっこになりがちな領域ですが、それでもこちら側からコントロールし続けないと、Webマーケティング業界全体が『健全ではない』と見られてしまう。それが一番困ることですし、対策を続けること自体に社会的意義があると思っています。

単にコストを削減するためだけでなく、自社の最適化にとどまらず、業界全体がどう見られているかまで視野に入れて広告運用を行うことが重要だと感じています。」

花業界のリーディングカンパニーとして

Q.今後の展望についてお聞かせください。

大橋様:「私たちのミッションは、『花をもっと身近に感じていただき、いろんな人にもっと気軽に贈ってもらうこと』です。

華道など花に触れる部活動も減り、家に人を招く機会も昔ほど多くない中で、花に触れる場面は以前より少なくなっているかもしれません。それでも、花があって嫌な気持ちになる人はほとんどいないと思うんです。むしろ、花があることで空気が変わったり、良い印象を持つ方が多いはずです。

だからこそ、その価値に気づいてもらう“きっかけ”を、マーケティングを通じてつくっていきたい。その過程で私たちが進むべき道は、『正しいマーケティング』であり、『Web広告業界の健全化』だと考えています。

花業界のリーディングカンパニーとして、アドフラウド対策にも率先して取り組み、自社だけでなく業界全体にポジティブな影響を与えられる存在でありたいと思っています。」

まとめ 

ガイダンスと市場環境の変化が加速する中で、花キューピット様が示されたのは、単に自社の広告費を守るという発想にとどまらず、「広告は業界全体で守るべき公共性のある資源である」 という視点でした。

今回のインタビューで特に印象的だったのは、以下の3点です。

● CO₂削減を実現するサステナブルな事業モデルと、“無駄を生まない”という思想が広告運用にも通底していること
環境負荷を減らす配送モデルを採用している企業だからこそ、広告においても不要な配信や不正を見過ごさず、長期的に健全な状態を守ろうとする姿勢が明確でした。

● トライアルで被害額が可視化された瞬間に、迷わず導入を決断した行動力
「思っていた以上の無駄が生まれていた」という事実を直視し、改善に向けて即座に動いた判断スピードは、表層的ではない“本気の向き合い方”を象徴しています。

● 総務省ガイダンスをはじめとする外部環境の変化を捉え、自社だけでなく“業界全体の健全化”まで視野を広げていること
法整備や環境変化を受けて、広告主にも透明性が求められる時代。花キューピット様はその流れを受け身ではなく、自ら主体的に動き、業界全体が信頼されるマーケットをつくる必要性を語られていました。

これら3つの姿勢は別々のものではなく、「環境にも、広告にも、無駄を残さない」 という一貫した哲学から生まれています。

だからこそ、アドフラウド対策が単なるコスト削減ではなく、業界の未来を守るアクションとして強い説得力を持つのだと感じました。

1社単位ではなく業界全体で動くことが、長期的な市場の成長には欠かせません。
その必要性を理解し、実際に行動に移している企業は決して多くありません。

今回のお話を通して、アドフラウドは「広告費の無駄」以上の意味を持ち、行政のガイダンスと歩調を合わせながら業界全体で取り組むべきテーマであることを再認識しました。

大橋様、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

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