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【内容が違う】広告詐欺が多いスマホのゲームアプリ広告の問題点を解説!
しかし、近年は「実際のゲーム内容とはかけ離れた広告」がしばしば話題にのぼっています。ゲームを広告経由でインストールをしたことがあれば、、「広告で見た内容と全然違う…」といった経験がある方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな「広告詐欺」とも言われるゲーム広告問題について解説します。実際にどんな事例があるのか、またゲーム内容とは著しく異なる広告に違法性はないのかをみていきましょう。
「広告詐欺」と言われるスマホゲームを3つ紹介
広告内容と実際のゲーム画面がまったく違う「広告詐欺」と言われるゲームにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、とくに話題を集めた3つのスマホゲームを紹介します。
例①『ガーデンスケイプ』
2016年にリリースされた『ガーデンスケイプ』。
広告動画では、ゲームのなかのキャラクターを助ける救出ゲームのように見えますが、実際には「同じピースを3つ繋げて消す」というパズルゲームです。
広告の男性キャラクターはゲームには登場するものの、そのゲーム内容はイメージしていたものとは大きく異なるでしょう。
例②『Hero Wars』
同じく2016年にリリースされた『Hero Wars』も、広告動画と実際のゲーム内容には大きな乖離があります。
広告ではパズルゲームのように見えますが、実際にはヒーローを育てて戦うRPG系のゲームです。
広告のパズルゲームは一応登場するものの、数回出てくるだけの本編とはあまり関係ないオマケ要素となっています。
例③『ビビッドアーミー』
『ビビッドアーミー』は2019年にリリースされたスマホゲームで、広告では美少女キャラクターのイラストとともに「お仕置き」「合体」などの過激な言葉が使われています。しかし、実際のゲーム内容は自軍を強化して戦う戦略シミュレーションゲームであり、広告にあるようなセクシャルな要素はほとんど登場しません。
アダルト要素を期待してダウンロードしたユーザーからすれば「広告詐欺だ」と感じてしまうでしょう。
ゲームアプリに用いられる「プレイアブル広告」とは
スマホゲームの広告にはおもに画像や動画が使われていますが、近年は「プレイアブル広告」が注目を集めています。
プレイアブル広告とは、広告のなかでゲームを擬似体験できるインタラクティブなタイプの広告のことです。
ゲームの一部を実際にプレイできるため、単純に画像や動画を見せる広告に比べて、ゲームの面白さやユーザビリティをダイレクトに伝えることができます。
コンバージョン率向上が見込める効果の高い広告手法であり、活用企業は今後増加していくと予想されていますが、このプレイアブル広告でも「実際のゲーム内容とは大きく異なる広告」が問題となっています。
当然、擬似体験したゲームが実際のものとまったく違う内容であれば、ユーザーの信頼を大きく損ねる結果となるでしょう。
「本編とはまったく異なるゲーム広告」は違法?
それでは、先に挙げた3つの例のような「本編とはまったく異なるゲーム広告」に違法性はないのでしょうか。
まず、これらが抵触する可能性のある法律には「優良誤認表示」が考えられます。
これは景品表示法によって定められており、商品・サービスの品質を実際よりも優れていると偽って宣伝する行為を禁止するものです。
そのため「広告で表示された内容だからこそダウンロードにつながっている」と判断された場合には、この優良誤認表示に該当する可能性があります。
また「広告で表示されている内容と実際のゲームがまったく別物である」と判断されれば、「おとり広告に関する表示」に該当するケースも考えられます。
こちらも景品表示法によって定められた法律の一つで、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず購入できるかのような表示を禁止するものです。
広告で流れる内容が実際は遊べないとすれば、それはおとり広告とみなされる可能性が十分にあるでしょう。
このような「優良誤認表示」や「おとり広告に関する表示」に該当しそうな広告は多いものの、実際に取り締まりなどは行われていません。これらの法律に抵触するかどうかは、単純に広告内容とゲーム画面の一場面を比較するだけでは判断できないからです。
また広告内容が「著しく優良かどうか」なども人によって感じ方が異なるため、その線引きも非常に難しい部分でしょう。
そもそも実際の商品・サービス内容と異なる広告表示は、これまでもさまざまな企業で行われてきたことです。
たとえば、国内でも有名なゲームソフト『ドラゴンクエスト』でもタレントを起用した実写CMを近年流していましたが、CMのような実写の場面はゲームには登場しません。
しかし、それがイメージ演出である点はユーザー側も理解しており、「ゲームに実写の場面は登場しない!詐欺だ」といった批判を受ける可能性は低いでしょう。
イギリスの広告基準協議会(ASA)が広告表示の禁止を通告
前述のとおり、本編とは異なるゲーム広告だとしても取り締まりなどは行われていないのが日本の現状です。しかし海外ではこれらの広告に禁止通告する事例が出てきました。
2020年10月、スマホゲームの『ガーデンスケイプ』と『ホームスケイプ』の広告が「誤解を招く」として、イギリスの広告基準協議会(ASA)は開発会社Playrixに対して広告表示の禁止を通告しています。
これに対してPlayrixはゲーム内容の一部を広告にあわせて変更し、広告内には「すべての画像が実際のゲームプレイを示すわけではありません」と警告文を表示させました。しかしASAは、「この広告をふたたび表示することを許可しない」と公表しています。
あくまで広告で流す内容はそのゲームのメイン要素でなければならないという判断を下しているのです。
上記はイギリスでの事例ですが、こうした広告分野の規制機関が禁止通告を出す事例は、今後ほかの国に広がっていく可能性も十分に考えられるでしょう。
ゲーム広告におけるアドフラウド
広告主にとって、ゲーム広告には「アドフラウド」の問題もあります。
アドフラウドとは、自動プログラムによって広告の表示回数やダウンロード数などを不正に増やし、広告費をだまし取る行為のことです。
こちらの記事は、弊社とお取引のあるソーシャルゲームデベロッパー様のインタビュー記事です。そのデベロッパー様では月の広告費およそ5,000万円のうち、約30〜40%がアドフラウドと検知されていました。具体的には「ハイジャック」や「フローディング」などの手口が用いられています。
アドフラウドを放置していれば、会社全体の利益率を大きく損ねてしまうでしょう。広告を運用する側は、こうした問題にもしっかりと対策を講じておかなければなりません。
アドフラウド(広告詐欺・広告不正)とは?
最近、少しずつ耳にするようになってきた「アドフラウド(広告詐欺・広告不正)」。
アドフラウドは不正な手法によって広告の閲覧、クリックを水増しし広告費用を不正搾取する手口です。
そのため広告主は、リスティング広告などでクリックやコンバージョンに至ったとしても、実は被害を受けていたことで効果に繋がっておらず、気付かず無駄な広告費を支払っていたということも。
ちなみにSpider Labs調べではアドフラウドの推定年間被害額が1000億円以上とも言われています。
【関連記事】ネット広告詐欺はどのような手口で行われる?アドフラウドの手法9つ
このような不正行為から身を守ることが、広告担当者やマーケターの業務として新しく求められてきているのです。
ただ、具体的にそもそもアドフラウドって何?企業にとってどんな影響があるの?とお持ちの方も多いと思います。
そのような方に向けたウェビナーを開催しました。
サクッとアドフラウドについて知りたい方は以下オンラインコンテンツをご覧ください。
▶︎▶︎【推定年間被害額1000億円超え】 広告効果を劇的に悪化させるアドフラウドとは?◀︎◀︎
まとめ
今回は「広告詐欺」と言われるゲーム広告問題について解説しました。
本編とまったく異なるゲーム広告は「優良誤認表示」や「おとり広告に関する表示」に該当する可能性はあるものの、その線引きは難しく、現状取り締まりには至っていません。
しかしイギリスの例のように、なんらかの形で規制が入る可能性もあります。今後取り締まりが強化されていくのかどうか、注目の集まる分野といえるでしょう。
▶︎▶︎2024年アドフラウド調査レポートを公開しました◀︎◀︎
Spider Labsの最新アドフラウド調査レポートを公開しました。
今回のSpider AFでの調査では2023年の1年間で解析したウェブ広告の29億2,500万クリックのうち、約4.9%にあたる1億4,332万クリックがアドフラウドであることが判明。これはおよそ71億6,625万円(1クリックあたり50円で計算)規模のアドフラウド被害があったと推測しております。
他にも新たに検出されたアドフラウド被害事例や、詳細数値が無料でご覧いただけます。
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