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マーケティングセキュリティとは?顧客の信頼を守り、攻めの施策を加速させる方法を徹底解説

マーケティングセキュリティとは?顧客の信頼を守り、攻めの施策を加速させる方法を徹底解説
目次

「最近、個人情報保護法が改正されたけど、うちの顧客データの管理方法は本当に大丈夫だろうか?」
「他社の情報漏洩ニュースを見ると、明日は我が身かもしれない…」

企業のマーケティング部門やWebサイトを運営する担当者の方なら、一度はこのような不安を感じたことがあるのではないでしょうか。
MAツールやCRMで顧客情報を管理し、Webサイトのフォームから日々新しいリードを獲得する中で、その取り扱いには細心の注意が求められます。

この記事では、そうした漠然とした不安を解消し、具体的な対策への第一歩を踏み出すための「マーケティングセキュリティ」について、専門知識がない方にも分かりやすく解説します。
マーケティングセキュリティの基本から、具体的なリスク、そして今日から始められる対策までを網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもマーケティングセキュリティとは?従来の対策との違い

マーケティングセキュリティとは、企業のマーケティング活動において取り扱う顧客データ、ブランドイメージ、WebサイトやSNSといったマーケティングチャネルを、様々な脅威から保護するための一連の対策です。

従来のセキュリティ対策は、主に情報システム部門が管轄し、社内ネットワークやサーバーといった会社全体のIT資産を守ることを目的としていました。
一方で、マーケティングセキュリティは、マーケティング活動に特有のリスク(例えば、広告の不正利用やSNSアカウントの乗っ取りなど)に焦点を当てています。
そのため、IT部門任せにするのではなく、マーケター自身が主体的に理解し、対策を講じていく必要があるのです。

なぜ今、マーケティングセキュリティが重要なのか?4つの理由

近年、マーケティングセキュリティの重要性は急速に高まっています。
その背景には、単なるリスク回避(守り)だけでなく、企業の成長に繋がる(攻め)の側面も存在します
主な理由は以下の4つです。

理由 解説
1. 顧客データの保護と信頼維持 顧客情報は企業の最も重要な資産の一つです。万が一漏洩すれば、顧客からの信頼を失い、回復には多大な時間とコストがかかります。安全なデータ管理体制は、顧客が安心してサービスを利用するための大前提となります。
2. ブランド価値の維持・向上 不正アクセスによるWebサイトの改ざんや、不適切なサイトへの広告表示は、企業のブランドイメージを大きく損ないます。逆に、セキュリティ対策を徹底している姿勢を示すことは、顧客に対する誠実さのアピールとなり、ブランド価値の向上に繋がります。
3. 法規制遵守とコンプライアンス 個人情報保護法をはじめ、国内外の法規制は年々厳格化しています。法律を遵守し、コンプライアンス違反による罰則や社会的信用の失墜といったリスクを回避することは、企業活動の基本です。
4. マーケティングROIの最大化 アドフラウド(広告不正)のように、ボットによって広告費が不正に消費されるケースがあります。こうした無駄なコストを削減し、予算を本来届けるべき顧客へのアプローチに集中させることで、マーケティングの投資対効果(ROI)を最大化できます。

あなたの会社は大丈夫?マーケティング活動に潜む7つの主要リスク

「うちの会社は大丈夫」と思っていても、リスクは意外な場所に潜んでいます。
マーケターが日常的に利用するMAツールやCRM、Web広告、SNSアカウントなど、顧客との接点となるあらゆるチャネルが攻撃の対象になり得ます。
ここでは、特に注意すべき7つの主要なリスクについて見ていきましょう。

リスク1:サイバー攻撃(マルウェア、DDoS、SQLインジェクションなど)

WebサイトやWebアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃です。
マルウェアに感染させられたり、大量のアクセスでサーバーをダウンさせるDDoS攻撃を受けたりする可能性があります。
また、SQLインジェクション攻撃によって、Webサイトのフォームなどからデータベースに不正にアクセスされ、顧客情報がごっそり盗まれるといった被害に繋がります。

リスク2:サプライチェーン攻撃(委託先やSaaSツール経由)

自社のセキュリティが強固でも、取引のある広告代理店や、利用しているMAツールといった外部のサービスが攻撃され、そこを踏み台として自社に侵入されるリスクです。
近年、このサプライチェーンを狙った攻撃は増加傾向にあり、委託先のセキュリティ体制の確認も重要になっています。

リスク3:内部不正・ヒューマンエラー

リスクは外部からだけとは限りません。
従業員による意図的な情報の持ち出しや、操作ミスによる「うっかり」での情報漏洩も大きな脅威です。
例えば、顧客リストを誤った宛先にメールで送ってしまうといったヒューマンエラーは、どの企業でも起こりうるリスクと言えるでしょう。

リスク4:ソーシャルエンジニアリング(なりすまし、フィッシング詐欺)

技術的な手法ではなく、人の心理的な隙やミスを利用して情報を盗み出す攻撃です。
システム管理者や取引先になりすましたメールを送りつけ、偽のログインページに誘導してIDとパスワードを窃取するフィッシング詐欺が代表的です。
多くの外部パートナーとやり取りするマーケティング部門は、特に狙われやすいと言われています。

リスク5:プライバシー侵害(Cookieの不正利用など)

ユーザーの同意を得ずにWebサイト上の行動履歴(Cookie情報)を取得・利用したり、個人情報と不適切に紐づけたりすることで発生するリスクです。
改正個人情報保護法など、プライバシー保護に関する法規制は世界的に強化されており、知らないうちに法律に違反してしまう可能性もあります。

リスク6:AI技術の悪用(ディープフェイク、データポイズニング)

AI技術の進化に伴い、新たな脅威も生まれています。
例えば、経営者やインフルエンサーの偽の動画(ディープフェイク)を作成してSNSで拡散し、ブランドイメージを毀損する手口が考えられます。
また、AIの学習データに悪意のあるデータを注入(データポイズニング)し、ECサイトのレコメンド機能を誤作動させるといった攻撃も出現しています。

リスク7:不正広告(アドフラウド)とブランド毀損

ボットなどが人間のふりをして広告を不正にクリックし、広告費をだまし取る「アドフラウド」は、マーケターにとって直接的な金銭的損失となります。
また、自社の広告が公序良俗に反するサイトやヘイトサイトなど、不適切なコンテンツの隣に表示されてしまうと、ブランドイメージが大きく損なわれる「ブランド毀損」のリスクがあります。

【関連記事】アドフラウドとは?広告詐欺・不正広告の種類や仕組み、対策の成功事例を解説

【関連記事】ブランドセーフティとは?成功事例と実践対策であなたのブランドを守る!

【施策別】マーケティングチャネルごとのセキュリティ対策

では、具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか。
ここでは、マーケターが日々の業務で関わる主要なチャネルごとに、基本的なセキュリティ対策をご紹介します。
ご自身の担当業務と照らし合わせながら確認してみてください。

Webサイト・オウンドメディア(WAF、脆弱性診断)

Webサイトは企業の顔であり、顧客との重要な接点です。
問い合わせフォームからの情報漏洩や、Webページの改ざんを防ぐためには、専門的な対策が欠かせません。

  • WAF (Web Application Firewall) の導入: WAFは、Webアプリケーションへの不正な通信を検知・遮断する「門番」のような役割を果たします。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった代表的な攻撃からWebサイトを守ります。
  • 定期的な脆弱性診断: Webサイトや使用しているシステムにセキュリティ上の弱点(脆弱性)がないか、定期的に専門家による「健康診断」を受けることが重要です。脆弱性を放置すると、攻撃者に侵入経路を与えてしまいます。

Web広告(アドフラウド対策、ブランドセーフティ)

多額の予算を投じるWeb広告では、費用対効果の最大化とブランドイメージの保護が重要です。

  • アドフラウド対策: ボットによる不正クリックを防ぐため、reCAPTCHAのようなボット対策ツールを導入したり、不正なアクセス元からのトラフィックを遮断したりします。より高度な対策には、専門ツールの活用が効果的です。
  • ブランドセーフティ対策: 不適切なサイトに広告が掲載されないよう、広告配信先リストを精査したり、ブランドセーフティツールを利用して掲載先をコントロールしたりすることが求められます。

メールマーケティング(なりすまし対策、誤送信防止)

一斉配信が可能なメルマガは便利な反面、一度のミスが大きなインシデントに繋がりかねません。

  • なりすまし対策: 送信元が正規のものであることを証明する技術(SPF, DKIM, DMARC)を設定し、自社になりすましたフィッシングメールが出回るのを防ぎます。
  • 誤送信防止: 顧客リストの取り扱いルールを厳格化し、ダブルチェック体制を徹底します。また、宛先や添付ファイルを送信直前に確認する機能を持つメール誤送信防止ツールを導入することも有効な手段です。

知らないでは済まされない!マーケターが押さえるべき関連法規

マーケティング活動は、様々な法律によって規制されています。
コンプライアンス違反は企業の信用を大きく損なうため、担当者は主要な法律の概要を理解しておく必要があります。

法律名 マーケティング活動との関連性
個人情報保護法 顧客の氏名、メールアドレス、Cookie情報などの個人情報を取得・利用する際のルールを定めています。同意取得のプロセスやデータ管理の方法が厳しく規定されています。
特定電子メール法 広告・宣伝目的のメール(メルマガなど)を送信する際のルールです。原則として事前に同意を得た相手にしか送信できず(オプトイン)、受信者がいつでも配信停止できる仕組み(オプトアウト)の提供が義務付けられています。
不正競争防止法 不正な手段で他社の営業秘密(顧客リストなど)を取得・利用する行為を禁じています。
電気通信事業法 WebサイトでのCookie利用など、利用者の情報を外部に送信する場合に、通知や公表、同意取得などの対応が求められることがあります。
GDPR / CCPA EUや米国カリフォルニア州の居住者のデータを取り扱う場合に適用される可能性のある海外のプライバシー関連法規です。越境ECなどを行う際は注意が必要です。

【2025年以降】AIで進化するマーケティングセキュリティの最新動向

最後に、マーケティングセキュリティの今後のトレンドについて少しだけ触れておきましょう。
テクノロジーの進化とともに、セキュリティ対策も日々高度化しています。

  • ゼロトラストセキュリティ: 「社内だから安全」「一度認証したから大丈夫」という考え方を捨て、「何も信頼しない(ゼロトラスト)」を前提にあらゆるアクセスを検証するアプローチです。テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大に伴い、重要性が増しています。
  • AIを活用した脅威対策: AIや機械学習を用いて、不正なアクセスや未知のマルウェアの兆候をリアルタイムで検知・分析し、対応を自動化するソリューション(SOARなど)が普及し始めています。これにより、セキュリティ担当者はより高度な脅威分析に集中できるようになります。

まとめ:セキュリティは守りから攻めへ。信頼を基盤に事業成長を加速させよう

この記事では、マーケティングセキュリティの重要性から具体的なリスク、そして対策について解説してきました。

マーケティングセキュリティは、もはや単なるリスク対策(守り)ではありません。
顧客からの信頼という強固な土台を築き、データ漏洩の不安なく安心してマーケティング施策を実行できる環境を整えることは、企業の競争力を高める「攻め」の投資と言えます。

まずは、本記事で紹介したリスク一覧を参考に、自社のマーケティング活動にどのようなセキュリティ上の課題が潜んでいるかを洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
信頼を基盤としたマーケティング活動こそが、持続的な事業成長を加速させる鍵となるはずです。

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