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SaaS企業を支えるThe Model型営業の実現に必要な4つの条件とは
SaaSビジネスの浸透と同時に、SaaSビジネスに強い企業のあり方についても議論が広がっています。The Model型と呼ばれる営業組織のあり方は、SaaSビジネスを効率よく成長させる上で、最も効果的な実践アプローチの一種とされています。
今回はThe Model型組織の構築で得られる変化や、どのような条件が求められるのかについて、ご紹介します。
SaaS時代の必読書とされる「The Model」の概要
The Model(ザ・モデル)はSaaS企業大手のセールスフォースが提唱しているコンセプトで、2019年に米国式の営業手法に詳しい福田康隆氏が2019年に発刊した『The Model』を通じて普及していきました。
これは、マーケティングからインサイドセールス、そしてカスタマーサクセスまでを一連のプロセスとして数値化するとともに、各ステップで詳細にKPIを設定し、売上を拡大していこうという考え方です。
SaaS企業を中心に、米国では盛んに企業で採用されている組織作りのあり方であることから、国内のSaaS企業においても導入が進められています。
組織体制の刷新?The Modelを導入すると何が変わるのか
国内における従来の営業組織と、The Modelを導入した新しい組織とでは、どのような違いがあるのでしょうか。
大きな転換点としては、企業や人材が蓄積してきたノウハウや経験よりも、リアルタイムで収集される最新のデータに基づいた、客観性の高い意思決定を尊重している点にあります。
営業活動の課題として懸念されてきたのが、業務の属人化です。特定の担当者に業績や意思決定が依存してしまい、人材の流動性を妨げると共に、高度なスキルセットが要求され、慢性的な人材不足を誘発する要因となってきました。
そこで注目が集まるようになったのがThe Model型営業組織で、データドリブンな組織体制を実現し、特定の人材に売上が左右されない、安定した成長基盤を確保することができます。
優れたデータ活用を実現!The Model型組織から得られる3つの変化
The Modelを組織に導入することで、どのような変化が現れるのでしょうか。実現によって得られる具体的な3つの変化について、ご紹介します。
営業活動を分業体制に移行できる
The Model採用の大きな変化として、営業活動の完全分業制を実践に移せる点が挙げられます。インサイドセールスとフィールドセールス、マーケティング、カスタマーサクセスといった一連の業務は、専任の担当者や担当チームによって別個に対応することとなります。
それぞれの業務にKPIが設定され、各部門でKPIの達成に向けて注力することになるため、マルチタスクで不要な負荷を与えることのない、合理的な組織へと生まれ変われます。
営業活動を可視化できる
The Modelの実践によって、営業活動が可視化され、定量評価ができるようになるのも大きな変化です。これまで営業活動は各担当者が別個に管理し、成約に繋がったかどうかだけ報告する、というケースも珍しくありませんでした。
この場合、成約に至るまでのプロセスがどのように進められており、どのように機能しているかがブラックボックスとなってしまうため、改善効率は著しく低下してしまいます。
The Model型営業組織は、このような営業活動のブラックボックス化を回避するのに役立ちます。各担当ごとにKPIが設けられ、その達成率を確認しながら改善に取り組むため、どのようなステップに問題を抱えているのかを確実に特定し、迅速に改善へ結びつけることができます。
BtoBマーケティングに関してのKPIの設け方に関しては以下記事でご覧ください
【関連記事】BtoBマーケティングにおけるKPIとは?SaaS企業が重視すべき目標と広告運用のノウハウ
顧客ニーズに最適化したアクションを起こせる
データの可視化を促進するThe Model型営業組織のあり方は、顧客データの可視化にも積極的です。既存顧客がサービスに満足しているかどうか、新しいニーズが発生しているかどうかを、解約率や利用継続年数などの数値などから把握できるため、顧客の数が増えても高い水準のサービス提供を継続できます。
また、見込み客が抱えているニーズに対してもこれまでの行動履歴から一人一人分析し、その人に最適なシナリオでアプローチできるようになります。複数のシナリオをあらかじめ用意し、運用すれば、満足度の高い顧客対応を実現できます。
営業とマーケの連携が鍵!The Model型の営業組織に必要な4つの条件
上記のようなThe Model型の営業組織を実現するためには、どのような条件をクリアすれば良いのでしょうか。次世代の営業組織に求められる4つの条件について、最後に解説します。
営業とマーケティングの部門間連携を強化する
まず重要なのが、営業とマーケティングの部門間連携です。上記では完全な分業体制の実現や、その重要性についてご紹介しましたが、独立した部門間でデータ連携ができる環境を目指すのが、理想的なThe Model型営業組織のあり方です。
The Model型営業の課題として囁かれているのが、分業体制が極端に浸透し、部門間の連携が取れなくなってしまう問題です。担当部署のKPI達成に邁進するあまり、肝心のKGIを前提としたアクションを起こせなくなってしまうというものです。
顧客データを連携して最新のステータスをリアルタイムで更新したり、見込みの高いリードを営業担当にうまく送客し、高い成約率を実現したりと、両者の連携がなければ確かな成長は見込めません。
KPIは違えど、目指すべきKGIは同じであることを社内で浸透させ、どうすれば目標達成を近づけられるかを念頭におきながら、環境整備を進めましょう。
【関連記事】MQLとSQLの関係性がもたらす成果とは?リードの解像度を高めるためのノウハウ
データ共有環境を改善する
上でも少し触れましたが、部門間連携を強化する上ではデータ共有の環境整備は不可欠です。分業制を強調しすぎると、部門ごとに独自のデータ管理が行われてしまい、会社の資産としてデータ運用を進めることが難しくなってしまいます。
営業、マーケティングを問わず、共通のデータベースへアクセスできる環境を整備して、社内情報にズレが生まれたり、誤った情報が共有されたりしないよう努めましょう。
メールの送信状況や顧客の問い合わせ状況など、部門ごとの活動が可視化される仕組みづくりが求められます。
導入目的を具体的にする
成果につながるThe Model型営業組織の実現のためには、新たなモデルを導入することでどのようなゴールに到達したいのか、ということを明らかにすることも重要です。
現在抱えている営業活動の課題を解消できる仕組みが設けられていなければ、どれだけ時間をかけて構築しても、期待しているような結果は得られません。具体的な導入目標を掲げ、その実現に向けた実行プロセスを固めましょう。
PDCAサイクルを導入・改善する
The Model型営業の優れた点は、ただ情報を可視化できるだけでなく、可視化した情報を生かして改善スピードを高められる点にあります。
素早い計画立案と実行、そして結果の評価と改善というPDCAサイクルを実現し、より良い結果を目指せる組織づくりが必要です。
各部門で細かくKPIを設定することで、改善すべき課題を迅速に発見できます。実行結果の評価と改善施策の検討スピードを高め、確実に事業を前進させられるようになるでしょう。
まとめ
The Model型営業は米国式の合理的なノウハウとして、日本でも大いに注目を集めています。データの可視化については昨今のDXトレンドの高まりに伴い、特に重視されている部分でもあります。
導入に伴うリスクや成功の条件を把握した上で、自社へ導入していくと良いでしょう。
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