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【2022年最新版】GoogleサードパーティCookie提供廃止の影響とは?代替と考えられるTopicsとは?
※2021年2月20日に公開した記事を2022年2月8日に加筆修正を加えました。
2020年1月にGoogleは自社のブラウザChromeでのサードパーティーCookieの提供を段階的に廃止する予定と発表し、従来サードパーティーCookieデータを活用して広告配信などを行っていたアドテクノロジーは大きな影響が及ばされると予想されます。本稿では、GoogleがなぜサードパーティCookieの廃止に至ったのかやサードパーティCookieの代替技術と考えられるTopicsをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
サードパーティCookieとは?
本題に入る前に、まずCookieとはなにかご説明します。Cookieとは、Webサーバーから送られてくるシンプルなテキストデータであり、サイト訪問履歴やログインID等を記録しておきます。SNS等に自動でログインできるのもCookie を活用しています。
Cookieにはウェブサイトを運営している事業主体者が発行するファーストパーティCookieと、広告配信などに使われる事業者ではない第三者向けに発行されるサードパーティCookieがあります。今回提供が廃止されるのはこのサードパーティCookieであり、広告配信業者は取引先のサイトの広告枠や計測タグなどを用いて訪問者にCookieを付与し、それによりターゲティング広告などが可能となっているものです。
なぜGoogleはサードパーティCookieの提供を廃止するのか?
GoogleがサードパーティCookieを廃止するのは個人情報保護への動きとプライバシー強化に向けての対策です。
個人情報保護の動き
欧州の一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)やアメリカ カリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act:CCPA)などにより個人情報保護のための規制が強まっています。その影響を受けて、競合ブラウザであるFirefoxは2019年から追跡Cookieのブロック機能を搭載、Appleが提供するSafariでも2020年にブラウザ内では初となるサードパーティCookieの完全ブロックするアップデートを行いました。このようにブラウザ内で個人情報を保護する動きにGoogleも同様の対策を行っていくと考えられます。
プライバシー強化
今回の廃止に関してGoogleは、ウェブ上のプライバシーを根本的に強化する一環と発表しています。サードパーティCookieは個人での利用ではなく、企業側が活用する目的で発行されるケースがほとんどです。その結果、自分の閲覧履歴とは関係ない企業によりトラッキングされ、広告を表示されるということに嫌悪感を示すユーザーも増えてきています。このようにWEBを企業に利用される場所ではなく、よりプライベートで安心な場所にするという目的のためといわれています。
サードパーティCookieの廃止による影響
サードパーティCookieの提供の廃止によりどんな影響があると考えられるのでしょうか。まずひとつは、従来のサードパーティCookieを活用したアドテクノロジーが難しくなります。例えば、DSP広告などサードパーティCookieを活用してユーザーのクラスタリングやターゲティングを行っていたものは、データの取得方法などを再度検討しなければなりません。
このような広告配信が少なくなることで、WEBサイトの収益源が減ることが予想されます。Googleが発表したところによると、サードパーティCookieを完全停止することでパブリッシャーは収益が52%減少すると予想されています。その結果、WEBサイトは無料で情報を提示できなくなり、インターネットのエコシステムが衰退していくと考えられます。また、ユーザー側もCookieに変わるフィンガープリンティングなどの不透明な技術が普及することでプライバシーに悪影響を及ばされる可能性もあります。
このような影響も鑑みて、GoogleはサードパーティCookieに変わるプライバシーサンドボックスプロジェクトの開発を進めています。
サードパーティCookieの代替と考えられるのはFLoC、FLEDGE、Topics?
GoogleがサードパーティCookieでの広告配信の代替として検討しているのがプライバシーサンドボックスと呼ばれるプロジェクトです。このプロジェクトでは、Cookieを使わずにプライバシーを侵害せずに広告配信をするということを目指しています。そして2021年1月26日にGoogleのブログで新たなAPIとなるFloCが発表されました。
FloCとは?
FloC(フロック)とは、Federated Learning of Cohortsの略であり、コホートの連合学習とよばれる技術です。ブラウザにAIを組み込み、利用者の閲覧履歴などを分析します。その分析に基づき、好みや関心が似ている人を数千人単位で「コホート」と呼ばれるグループ化し、広告配信主が配信先として選択できるように提供するものです。
FloCを活用することで、個人の閲覧データは企業等が独自で収集することを防ぐとともに、数千人単位となるので個人を特定することも難しくすることでプライバシーを保護するというものです。GoogleによるとFloCを活用した場合、サードパーティCookieを利用した場合と比べて95%近い広告効果が得られたとのことです。
しかしながら、このFloCに関しての考えは難解で扱いにくく、さらに新たな追跡データをWEB上に構築する、つまりユーザーのプライバシーの扱いにおいて重大な脅威になるのではと様々なところで批判が起きました。結果GoogleはFloCの開発を断念せざるを得なく、新たなサードパーティCookieの開発が必須となりました。
Topics APIとは?
上記図引用元:Get to know the new Topics API for Privacy Sandbox
FloCの代わりとして2022年1月に発表された技術がTopics API (以後"Tpoics"と表記)
TopicsはFloCの反省点を踏まえて再構築された技術です。利用者のプライバシーを保護しつつ、広告主や広告配信者に必要となる仕組みを検討する「プライバシー・サンドボックス」の一環と言われています。
例えばTopicsでは「食事」「旅行」「エンターテインメント」などユーザーの興味・関心事を表す「トピック」を週ごとに決定します。この処理は外部のサーバーを介さず、すべてデバイス上で行われ、保存期間は3週間と古いトピックは順に削除されていきます。さらにこのFloCでも指摘されていた性別や人種といったセンシティブな内容は排除されると言われています。
ただ、Googleも開発を進める発表を行なったのみで、今後どのように展開するかは現時点では未定となっています。そのため今後の動向を注視する必要があります。ただ、Topicsといった新たな技術はCookieレスの流れを加速させることは間違いないと思います。
Cookieの代替技術「FLEDGE」
また、GoogleはCookieの代替技術としてFLEDGE(フレッジ)の発表も行っています。これは以前発表されたTURTLEDOVEを実用化したものです。FLEDGEは、TURTLEDOVEで提案されたブラウザ上で広告オークションを実行するという特徴に、アドテク会社の意見などを募り実用化したものです。
従来広告のオークション等はアドサーバで行われていましたが、それをブラウザ上で実行するものです。ブラウザ上で実行するため、広告オークションなどへのデータ流入量を制限することでプライバシーを保護できるという考え方により開発されました。2022年後半から数社のアドテク企業がFLEDGEのテストを行うことになっていますが、まだどのようなサーバーが本当に信頼できるのか、業界内の合意が取れている状態ではありません。
まとめ
GDPRやCCPAの施行などWEBやデジタルマーケティングにおいてプライバンシーに対しての懸念が高まっています。その影響は従来のアドテクノロジーやWEB全体のエコシステムにも大きな影響を及ぼす可能性があります。Googleは現在サードパーティCookieに変わり、プライバシーを意識した上で広告を配信できる技術TopicsやFLEDGSの開発を進めています。
現在まだ技術は開発途中であり、今後テストを重ねていく中でどのような結果となるかわかりませんが、今後配信技術などは大きく変わる可能性があります。デジタルマーケティングに携わっていたり、WEBサイトを運営している方は今後もGoogleの動向はチェックするようにしましょう。
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