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IDFA利用制限で700万社の広告主を抱えるFacebook社が大打撃!対応策は?

IDFA利用制限で700万社の広告主を抱えるFacebook社が大打撃!対応策は?
目次

Apple社が、iOS14でトラッキング防止機能を搭載することを発表しました。端末ID(IDFA)の使用制限が出ることから、IDFAを活用して広告配信をし、700万社の広告主を抱えるFacebook社は大きな打撃を受けることになりました。

CEOマーク・ザッカーバーグは、第3四半期決算発表会で「Apple社がiOS14で導入するトラッキング防止機能が広告運用に大きな打撃を与える。新型コロナウイルス(COVID-19)の経済回復にもマイナスの影響を与えることになる」と指摘しています。両社ともGAFAと呼ばれる巨大テックですが、関係性は良好ではないと報道されています。
 

Apple社は2021年度に新機能を搭載することを発表したため、Facebook社は新たな広告運用方法の対応策に追われています。実際に、どのような影響を受けており、どのような対策を取っていくのでしょうか?本稿では、Facebook社の今後の動向について紐解いていきます。
 

Facebook広告に影響を与えるIDFAとは

IDFA(Identifier for Advertisers)は、Appleの端末に割り当てられたデバイスIDをいいます。このIDを利用することで、ユーザー行動や広告エンゲージメントを計測することができていました。また、IDFAの最大の魅力は、ユーザーデータを匿名化できることで、プライバシー保護しながらアプリ計測ができるとして支持を集めていたのです。
 

しかし、2021年度からApple社がトラッキング防止機能を搭載することを発表しました。ユーザーがこの機能で簡単に追跡を拒否できるため、IDFAを使用した計測ができなくなります。従来の様にIDFAを使用できなくなるため、IDFAを活用していたFacebook社は大きなダメージを受けることになるのです。
 

Facebook社はApple社の影響力を警戒

iOS14でトラッキングオフ機能の搭載を発表したApple社に対して「大きな攻撃を受けている」「多くの企業に大打撃を与えることになる」と批判しています。後述しますが、トラッキングオフ機能でIDFAの利用制限がされると、広告投資収益率が50%低下することが実証実験で判明しました。そのため、700万社の広告主を抱えるFacebook社は、多くの広告主に影響が出ることを懸念してApple社を批判したのです。
 

CEOマーク・ザッカーバーグは、第3四半期決算発表会で、Apple社がiOS14で導入するトラッキング防止機能が広告運用に大きな打撃を与え、新型コロナウイルス(COVID-19)の経済回復にマイナスの影響を与えるになると指摘しています。このような動きから、新機能を発表したApple社の影響の大きさが伺えます。
 

iOS14で新機能搭載!Facebook広告が受ける影響

iOS14で新機能が搭載されることが決まりました。ユーザー側で、トラッキング機能をオフにするとIDFAが使用できなくなると説明しました。実際に、どのような影響を受けるのかを確認していきましょう。
 

消費者行動データが可視化できない

Apple社を除く「GAFA」は、消費者行動データを収集して、ビッグデータマイニングを行って、広告主や関係会社に販売してきました。ビッグデータを活用したデジタル技術は、マーケティングに高い効果が得られると支持を集めています。
 

しかし、Apple端末でユーザー側がトラッキング防止機能を設定できるようになることから、IDFAで取得できるデータ量に制約が出てきてしまうのです。その結果、広告主や関係会社に満足のいくサービスを提供できなくなります。
 

ターゲティング広告の精度が落ちる

消費者行動データが可視化できなくなると、ターゲティング広告配信が難しくなってしまいます。ターゲティングしない広告配信を実証実験した結果、投資収益率は50%減少することが発表されており、広告配信の効果が薄れてしまうとも述べられています。
 

多くの広告主に被害が出ることから、Facebook社はApple社に新機能の追加に対する批判をしたのです。
 

アトリビューション分析が困難になる

Facebook広告はアトリビューション分析が魅力的でした。提供しているツールを利用すると、パブリッシャーやチャネル、デバイスに跨って広告の広告度を測定でき把握することができたのです。アドリビューション分析をすることで、その広告の価値を理解することができ、投資収益率を最大化することができていたのです。

しかし、IDFAの使用制限がされると取得データ量が少なり、アドリビューション分析の能力も低下します。
 

IDFAに頼らないで高い収益を見込める広告配信法とは?

Facebook社は、IDFA利用制限後にも広告配信で高い収益性が出せる広告配信ができる新たな手法を模索しています。どのような手法が検討されているかを確認しておきましょう。
 

オフラインデータで広告配信を行う

実店舗での購入データなどオフラインデータは、IDFA利用制限の影響を受けません。これらのビジネスデータを収集することが、効果的な広告配信に必要不可欠だとFacebook社は考えています。
 

引用先:Michael Kors Facebook Offline Conversion Use Case

実ファッションブランドのマイケル・コースは、オフラインデータを収集して、購入金額、タイミング、買い物頻度に基づいたキャンペーンを構築することができ、多くの人を実店舗に呼び込むことに成功。広告費用対効果は33%、収益は25%増加しました。このようなオフラインデータによる広告配信に投資していくことが発表されています。
 

新たなビジネスモール「Facebook Shops」には好都合


Facebook社は、2020年5月にFacebookやInstagram上にオンラインショップを開設できる「Facebook Shops」をリリースしました。Facebook Shopsは、カスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成することができます。無料のため、ビジネスの規模や予算に関係なくECサイト運営が始められ、多くのユーザーに商品認知してもらえると大きな期待が寄せられています。
 

トラッキングオフ機能追加でIFDAが使用できなくなることは、大きな衝撃を与え、セキュリティやプラバシー保護に再注目が集まっています。企業側は、プライバシーポリシーを守っていく必要があるため、モール出典型ショッピングより、自社出店型ショッピングに移行されていくかもしれません。

そのため、IDFAの利用制限はFacebook Audience Networkに大打撃を与えますが、Facebook Shopsには好景気だという見解も出ています。
 

まとめ

今回は、iOS14のトラッキング防止機能で大きな打撃を受けるFacebook社について解説しました。IDFAを活用してアトリビューション分析を行ってきたFacebook Audience Networkは大打撃を受けることになります。Facebook社は700万社以上の広告主を抱えているため、緊急の対応策に追われている状態です。

 

現時点では、IDFAの利用制限に影響を受けない外部コンバージョンデータやサーバー側のデータ、オフラインデータを共有していくという方針を示しており、これらに投資し続けています。今後の広告運用ではプライバシー保護やセキュリティに関する知識も必要になってくるため、今後のFacebook社の動きに注目してみてください。

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