記事
ARPUとは?計算方法や向上させる方法とともに解説
WEB広告や課金型ビジネスモデルの評価に用いられる指標の1つが、ARPUです。
ただ、その意味や似ている指標との違いをすぐに答えられない人も少なくないでしょう。
また、ARPUはビジネスモデルごとに異なる計算方法で計算します。さらに、ARPUを向上させる方法も併せて知っておく必要もあるでしょう。
本記事では、ARPUの意味と必要な背景を解説した後、計算方法や向上させる方法も解説します。
ARPUとは?似ている指標との違いとともに解説
ここでは、ARPUの意味と、それと似ている指標の違いを解説します。
ARPUの意味
ARPU(Average Revenue Per User)とは、1ユーザーあたりの平均的売り上げを示す指標のことです。
主に通信事業者で使われてきた指標ですが、最近ではスマートフォンアプリやSaaSビジネスでも、評価指標として使われることが増えてきました。
計算式は以下の通りです
ARPU=売り上げ÷ユーザー数
ただ、ビジネスモデル別に計算方法が異なるので、これについて詳細は後ほど解説します。
通信事業者においては、売り上げが通話料とデータ通信料で構成されるため、通話料では「音声ARPU」、データ通信料では「データARPU」と区別されることがあります。
また、ソーシャルゲームなど、無料ユーザーと有料ユーザー両方存在するサービスでは、マネタイズができているか測定する指標としても有効です。
さらに、1週間や1ヶ月など一定期間の累積額を基にARPUを算出することもあります(累積ARPU)。
これにより、累積額が時間の経過とともにどう変わるか分析できるため、継続プレイと売り上げの関係を把握できます。
ARPA、AEPPUそれぞれの意味とARPUとの違いは?
1.ARPA(Average Revenue per Account)
ARPAとは1アカウントあたりの平均売り上げを指します。
計算式は以下の通りです
ARPA=売り上げ÷アカウント数
例えば、携帯電話キャリアにおいては、1アカウントが複数の端末をもつことは珍しくありません。
そのため、1つの端末をARPUで、1アカウントをARPAで評価することが一般的です。
また、BtoBのSaaSビジネスでは、「1ユーザーあたりの平均売り上げ」よりも「顧客1社あたりの収益」が重視されます。
そのため、BtoBビジネスでは以下のような計算式を用いてARPAで評価されることが一般的です
ARPA=MRR(月次経常利益)÷アカウント数
この場合ARPAは、ARPC(Average Revenue per Customer)と呼ばれることもあります。
ただ、ほとんどの場合ARPAとARPCは同義と考えて構いません。
【関連記事】BtoBマーケティングにおけるKPIとは?SaaS企業が重視すべき目標と広告運用のノウハウ
2.ARPPU(Average Revenue per Paid User)
ARPPUとは1課金ユーザーあたりの平均課金額を示します。
こちらの計算式は以下のように表します
ARPPU=ARPU×PUR
ARPPUとARPAとの具体的な違いは、対象が課金ユーザーとなるので注意が必要です。
具体的にはソーシャルゲームなど、無料ユーザーと課金ユーザー両方が存在する課金モデルにおいては、無料ユーザーの数が増えても収益が上がりません。
そのため、課金ユーザーを増やして収益を上げることが重要です。
その際、ARPPUは課金ユーザーの実態を明らかにするための指標として有効です。
なお、課金ユーザーを増やし、かつ1人あたりの収益を増やす方法については、後ほど詳しく解説します。
ARPUが必要とされている背景とは?
ARPUが必要とされている背景には、SaaSビジネスなどがある程度普及が進むと顧客数が伸び悩むため、1人あたりの売り上げを伸ばすことがより重要になることがあります。
なぜなら、売り上げ=顧客数✖️ユーザー1人あたりの平均売り上げで決まるからです。
事業の立ち上げ時期には、一般的に顧客数を増やすことが重要視されます。
ただ、前述のとおり、普及が進むと顧客数が伸び悩むことが多いのです。
そのため、事業の成長に伴い、顧客数を増やすこと以上にユーザー1人あたりの平均売り上げを伸ばす方が効果的なのです。
これにより、顧客数が伸び悩んでも収益を増やすことが可能になります。
ARPUの計算方法とは?ビジネスモデルの種類別に解説
ここでは、ARPUの計算方法をビジネスモデルの種類別に解説します。
表示型広告モデル
表示型広告モデルににおける計算式は以下の通りです。
ARPU=エンゲージメント×CPM
ここで、エンゲージメントはユーザー1人あたりがアプリを使っている時、CPMは表示されている広告単価のことです。
また、エンゲージメントは、PVや滞在時間、利用頻度などで決定されます。
例えば、ある情報サイトにおいて、CPMが200円、1インプレッション当たり単価が0.2円、1日の1ユーザーあたりの広告表示回数が平均30回とします。
すると、CTR=0.3%で、ARPU=エンゲージメント×(CPM÷1,000)=30×0,2=6円となります。
クリック型、成果型広告モデル
クリック型、成果型広告モデルにおける計算式は以下の通りです
ARPU=CPC×CTR
ここで、CPCはクリック単価、CTRはクリック率のことです。アプリインストール型広告でも同じ式でARPUを計算できます。
例えば、あるクリック型広告において、CPCが平均100円、広告表示回数が100万回で、うちクリック回数が3千回とします。
すると、CTR=0.3%で、ARPU=CPC×CTR=100×0,3=30円となります。
【関連記事】【リスティング広告編】CPC(クリック単価)高騰の原因と対処方法
【関連記事】【ディスプレイ広告編】CPC(クリック単価)高騰の原因と対処方法
課金モデル
課金モデルにおける計算式は以下の通りです
ARPU=ARPPU×PUR
ここで、PUR(Paid User Rate)は、課金ユーザーの割合を意味します。また、ARPPUは商品の単価、一回あたりの購入数、購入頻度で決まります。
例えば、あるソーシャルゲームにおいて、課金するユーザーの割合が25%、課金するユーザーの平均課金料金が1万/月、購入アイテム数が2点、購入頻度が1回/月とします。
すると、ARPU=ARPPU×PUR=(10,000×2×1)×(25÷100)=5,000円となります。
ARPUを向上させる方法とは?
ここでは、ARPUを向上させる方法を、5つ解説します。
1.顧客ロイヤリティ向上
顧客ロイヤリティとは、顧客が会社やその商品・サービスに対して抱く愛着や信頼のことです。
これを向上させると、顧客がその会社のリピーターになってくれる可能性が高まります。
その結果ARPUも向上するのです。
ここでは、顧客ロイヤリティの数値指標である、NPS(顧客推奨度)についても解説します。
NPSは、企業の業績成長とも深く関わるとされています。
NPSの算出方法は、以下のとおりです。
- 11段階のアンケートを取り、0〜10点でサービスの評価について点数をつけてもらう
- 回答を元に、顧客を「好意的」、「中立」、「批判的」に振り分ける
- NPS=「好意的の割合」ー「批判的の割合」で計算
例:「好意的」が60%、「中立」が25%、「批判的」が15%の場合、NPS=「好意的の割合」ー「批判的の割合」=60ー15=35
その際、好意的な理由や批判的な理由も、アンケートで回答を取れるとベターです。
NPSを上げている(もしくは下げている)要因を特定できれば、顧客ロイヤリティ向上につながるでしょう。
2.購入頻度向上
例えば、月1回だけサービスを購入してくれる顧客よりも、週1回サービスを購入してくれる顧客の方が売り上げをもたらしてくれる可能性は高いでしょう。
そのため、購入頻度向上もARPUを向上させる方法の1つと言えます。
購入頻度の高い顧客に対しては、割引クーポンや限定商品の案内などの施策を検討しましょう。
3.課金ポイント改善
課金モデルで収益を上げているビジネスにおいては、課金ポイント改善によって収益が上がり、ARPUが向上する可能性があります。
ビジネスモデルにおける「コア体験」(ゲームにおいて、仲間を集める場面や敵を倒す場面など)をよく理解しましょう。
コア体験の延長線上に課金ポイントを設定することで、課金を促進できます。
また、ヘビーユーザーに対して複数の課金ポイントを用意すると、より効果的です。
4.無料ユーザーとの差別化
無料ユーザーと有料ユーザーとで差をつけることで、課金を促進できます。わかりやすい事例がソーシャルゲームです。
多くのソーシャルゲームでは、課金することでキャラクターのレベル上げができるアイテムなど、自分にとって有利になるサービスを受けられます。
このように、無料ユーザーが受けられるサービスを制限することで、課金を促進してARPUを向上できるでしょう。
5.アップセル・クロスセル
アップセルとは、既存顧客に購入済みの商品のバージョンアップを行ってもらうことです。
既存顧客が自社商品に満足しており、顧客ニーズを把握していれば、購入済みの商品より高くても購入してくれる可能性は十分あります。
また、クロスセルは、顧客が購入してくれた商品に加えて、関連した商品も併せて購入してもらう手法です。
いずれも顧客1人あたりからの収益を増やせるので、ARPU向上につながります。
まとめ
本記事では、ARPUの意味と必要な背景を解説した後、計算方法や向上させる方法も解説しました。
ビジネスが成長するほど、顧客数は伸び悩みがちです。
また、一般的に新規顧客獲得よりもリピーター向けの方が収益化は容易とされています。
そのため、ARPUを計算することで、1人の顧客から安定して収益を得られているか分析できるでしょう。
なお、ネット広告のARPUが高い割に、あまり業績につながっていない場合、アドフラウドが悪影響を与えているかもしれません。
少しでも怪しいと感じたら、SpiderAFの無料トライアルを試してください。
▶︎▶︎2024年アドフラウド調査レポートを公開しました◀︎◀︎
Spider Labsの最新アドフラウド調査レポートを公開しました。
今回のSpider AFでの調査では2023年の1年間で解析したウェブ広告の29億2,500万クリックのうち、約4.9%にあたる1億4,332万クリックがアドフラウドであることが判明。これはおよそ71億6,625万円(1クリックあたり50円で計算)規模のアドフラウド被害があったと推測しております。
他にも新たに検出されたアドフラウド被害事例や、詳細数値が無料でご覧いただけます。
ぜひ以下リンクよりご覧ください。
>>ダウンロードはこちら<<