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日本のアドフラウド被害状況を解説|Webもアプリも被害(額)増加&巧妙化

日本のアドフラウド被害状況を解説|Webもアプリも被害(額)増加&巧妙化
日本のアドフラウド被害状況を解説|Webもアプリも被害(額)増加&巧妙化
目次

Spider AFの解析結果では、Web広告を出稿しているほとんどの企業で不正被害が確認されています。(この記事は国内最大級のアドフラウド対策ツール「Spider AF」を提供する株式会社Spider Labsが執筆・監修しています。)

up 2021-08-27

Web広告費は日本全体で約2.2兆円、テレビ広告を抜いてトップに

日本のアドフラウド被害状況を説明する前に、まずはWeb広告の現状を押さえておきましょう。電通が公表する「日本の広告費」によれば、2020年度のWeb広告費は全体で約2.2兆円と、テレビ広告の約1.6兆円を抜いてトップです。Web広告が6年連続の2桁成長するなか、アドフラウドの被害に悩む企業も比例し増加しています。またアドフラウドは反社会的勢力の資金源となっている点も大きな問題です。アドフラウドは今後10年以内にコカインやアヘンなどの薬物取引に次いで、反社会的勢力の二番目に大きな収入源になると予想されています。

 

このような経緯から、日本国内でも規制や対策に向けた動きが本格化しています。

  • 2021年2月 デジタルプラットフォーム取引透明化法が施行
  • 2021年3月 JICDAQ設立
  • 2021年4月 総務省「デジタル広告デジタル市場競争会議 最終報告」を公表

 

JACDAQについて詳しくはこちらをご覧ください。

【関連記事】JICDAQとは?目的や設立背景を解説!ブランドセーフティ / アドフラウド除外

 

日本のアドフラウド率は世界ワースト2位

デジタルメディア品質分野で権威性のあるIntegral Ad Science(IAS)が調査した、2021年下半期のデータによると、日本のアドフラウド率はワースト2位という結果に。アドフラウド対策済みのデスクトップディスプレイ広告は、2020年下半期の2.9%から0.3%改善し、2.6%となったものの、順位を変えるほどの結果とはなりませんでした。
 

一方、日本に対して世界平均は、アドフラウド対策をしたキャンペーンでアドフラウド率は1.4%。アドフラウド未対応の場合では10.7%です。モバイルウェブディスプレイ広告は、2020年下半期の2.7%から1.5%と大きく改善したにもかかわらず、デスクトップディスプレイ広告と同様のワースト2位に留まりました。
 

モバイルウェブディスプレイ広告の世界平均は、アドフラウド対策をしたキャンペーンで0.5%、アドフラウド未対応では6.3%です。これらのデータを比べてわかるように、アドフラウド対策において、日本は世界と比べると、対応が遅れています。
 

日本と世界のアドフラウド率を比較(アドフラウド対策済みのキャンペーン)

 日本のデスクトップディスプレイ広告世界のデスクトップディスプレイ広告日本のモバイルウェブディスプレイ広告世界のモバイルウェブディスプレイ広告2021年下半期2.6%1.4%1.5%0.5%2020年下半期2.9%0.8%2.7%0.4%

 

広告掲載先の約25%が「広告主にとって価値のないサイト」

Spider Labsの調査では、広告が表示されたサイトのうち約25%が「広告主にとって価値のないサイト」だとわかりました。

 

▲Web広告の状況とブランド毀損リスクについてのグラフ

 

無効カテゴリの割合で最多は「外国語でのサイト」でした。全体の83%が英語サイトです。日本人向けの広告が外国語サイトに表示されていても、見込み客には見てもらえません。その広告費は無駄に終わる可能性が高いでしょう。

 

 

また、これらのサイトは広告効果が悪いだけでなく、ブランド毀損リスクもはらんでいるため早急に対策が必要です。

 

ブランド毀損の有名事例 2選

Web広告で実際にブランド毀損を起こしてしまい世間を賑わせた事例として、「ユニリーバ・ジャパン」と「イギリス選挙広告」の2つの事例をみていきましょう。

 

事例1 広告代理店のミス?ユニリーバ・ジャパン

広告出稿先が「不適切な広告枠」でないか?チェックの重要性が認知された事例です。

大手日用品メーカー「ユニリーバ・ジャパン」は、2016年9月に動画配信サイト「AbemaTV」内で広告を配信。しかしこの番組は、特定の政治団体を支援する番組でした。それをメディアが取り上げ、ユニリーバ・ジャパンは視聴者からの激しいバッシングを受けてしまいます。最終的にユニリーバ・ジャパンは広告出稿を停止し政治的な意図がないことを説明しましたが、SNS上でも大きく炎上する事態に発展してしまいました。


 

事例2 イスラム過激派を支援?イギリス選挙広告

2017年6月にYouTubeで配信されたイスラム過激派の動画に、イギリスの選挙広告が表示されているとして問題となりました。広告表示=配信者の収益となるため、間接的ではあるものの「イギリス政府がイスラム過激派に資金提供している」として大きな批判を受ける結果となりました。

 

Web広告は部署単独ではなくPR・広報、ブランディングと連携を

広告担当者はクリック数やコンバージョン率などの数値目標だけでなく、こうしたブランド毀損への対策にも気を配ることが必要です。

今やWeb広告は部署単独でおこなう業務ではなくなりました。PR・広報、ブランディング担当と連携し多角的視点で広告配信をすることが重要です。

 

モバイルアプリのアドフラウド想定被害額は約39.5億円

Spider Labsの調査では、2020年7月から12月までの半年間で解析した4,400万件のインストールのうち、790万件(約17.9%)のインストールがアドフラウドであることが判明しています。

仮に「1インストールあたり500円」だとすると、およそ39.5億円が不正搾取された計算です。なお、アドフラウドを受けたOS分布を見るとAndroidが21.7%、iOSが78.3%という結果でした。

 

 

また、アドフラウドの手口は年々巧妙化しています。主流だったインストールの水増しだけでなく、近年はインストール後のアプリ内課金における不正も大幅に増加しているのです。今後もモバイルアプリを狙ったアドフラウドは拡大する可能性が高く、広告主側は最新情報をウォッチしつつ対策を講じていかなければなりません。

Spider AF|無料トライアルはこちらからお申し込みが可能です。アドフラウドの被害額だけを算出したい!という場合でもお気軽にご利用ください。

 

まとめ

日本におけるアドフラウドの被害は年々増加していくと想定されます。広告配信者が意識すべき点は、「アドフラウド」「ブランド毀損リスク」「ビューアビリティ」と多方面にわたります。これらに対する課題意識は高まってきているものの、実際に着手できている企業はまだまだ少数です。デジタル広告の現状を知り、どのようなリスクがあるのか理解したうえで適切な対策を講じていきましょう。

 

◆広告効果が出ないのはアドフラウド(広告詐欺)が原因かも

広告運用は様々な効果検証が必要となってきます。ただ、どんなに見直しを行っても効果が出ないことがあります。

もしかしたら、それはアドフラウド(広告詐欺)が原因かもしれません。

アドフラウドとは広告主から不正に広告費を搾取されており、その企業の広告費の流入先が実は反社会勢力に流れている可能性も。

実際にアドフラウドどのような手口かは以下の記事をご覧ください

【関連記事】ネット広告詐欺はどのような手口で行われる?アドフラウドの手法9つ

 

▶︎▶︎アドフラウド(広告詐欺・広告不正)って何?◀︎◀︎

そもそもアドフラウドって何?企業にとってどんな影響があるの?と疑問にお持ちですか?

そのような方に向けたウェビナーを開催しました。

サクッとアドフラウドについて知りたい方は以下オンラインコンテンツをご覧ください。

【推定年間被害額1000億円超え】 広告効果を劇的に悪化させるアドフラウドとは?

▶︎▶︎2024年アドフラウド調査レポートを公開しました◀︎◀︎

Spider Labsの最新アドフラウド調査レポートを公開しました。

今回のSpider AFでの調査では2023年の1年間で解析したウェブ広告の29億2,500万クリックのうち、約4.9%にあたる1億4,332万クリックがアドフラウドであることが判明。これはおよそ71億6,625万円(1クリックあたり50円で計算)規模のアドフラウド被害があったと推測しております。

他にも新たに検出されたアドフラウド被害事例や、詳細数値が無料でご覧いただけます。

ぜひ以下リンクよりご覧ください。

>>ダウンロードはこちら<<

Spider AF